非嫡出子と認知についてです
こんにちは。
行政書士 葛飾江戸川総合法務事務所のアテンドキャラクタ―の細谷叶恵です。
こちらでは非嫡出子と認知について紹介していきます。
非嫡出子の意義です
嫡出子とは、婚姻関係にない男女間から生まれた子をいいます。
現実的には、
・婚約等をしていない付き合っている男女の間に子が宿り、いわゆる「できちゃった婚」という結婚をせずに、女性がその子を産んだ場合
・既に結婚している男性と不倫関係で相手女性が子を宿り、相手女性がそのままその宿った子を産んだ場合
等が考えられます。
連れ子は非嫡出子ではありません
誤解が生じることが多いですが、「連れ子」は非嫡出子ではありません。
だって、婚姻関係にない男女間から生まれた子、ではないですよね。
連れ子とは、元々どなたかの嫡出子か非嫡出子かはわかりませんが、何らかの理由で元の配偶者と別れ、子を連れたまま別の方と「結婚した」ことをいいます。
ということは…、連れ子とは、「新しい」配偶者にとっては嫡出子でも非嫡出子でもないのです(話が脱線していますが、その連れ子は新しい配偶者の相続権を持っていないことになります)。
しかし、元の配偶者とは血縁関係を持っていますのでご注意ください。
認知とは
認知とは、非嫡出子の親がその非嫡出子を自分の子として認める行為をいい(民法第779条)、これにより親と非嫡出子の間に法律上の親子関係が生じます。
認知には、任意認知と強制認知がございます。
母子関係については、非嫡出子の親子関係は分娩の事実により当然に発生し、認知は不要となっています(最判昭37.4.27)
任意認知とは
任意認知とは、父が認知届を出して行う方法(民法第781条第1項)と、遺言書による方法(民法第781条第2項)による認知をいいます。
父が未成年者または成年後見人であっても、その法定代理人の同意は不要です(民法第780条)。
認知者の意思に基づかない認知届は、認知者と被認知者との間に親子関係があっても無効となります(最判昭52.2.14)。
原則として認知される子の承諾は不要ですが、次のような例外がございます。
成年の子を認知する場合
本人の承諾が必要です(民法第782条)
胎児を認知する場合
その母親の承諾が必要です(民法第783条第1項)
死亡した子を認知する場合(但し、死亡した子に直系卑属がいる場合に限る)
その直系卑属が成年者であれば、その承諾が必要です(民法第783条第2項)
強制認知とは
強制認知とは、父または母が認知をしないとき、子、その直系卑属またはそれらの者の法定代理人は、裁判により認知を強制することができることをいいます。
但し、父または母の死亡の日から3年を経過すると認知の訴えを提起できません(民法第787条)。
認知の効果
子の出生にさかのぼって親子関係が生じます。
但し、認知の遡及効は第三者がすでに取得した権利を害することはできません(民法第784条)。
参考条文
(認知)民法第779条
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
(認知能力)民法第780条
認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。
(認知の方式)民法第781条
第1項
認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
第2項
認知は、遺言によっても、することができる。
(成年の子の認知)民法第782条
成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。
(胎児又は死亡した子の認知)民法第783条
第1項
父は、胎内に在る子でも、認知することができる。
この場合においては、母の承諾を得なければならない。
第2項
父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。
この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。
(認知の効力)民法第784条
認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。
ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。
(認知の訴え)民法第787条
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。
ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りではない。