遺産分割協議について


遺産分割協議とは


遺産分割協議とは何でしょうか…?
民法では、遺産分割という制度があり、 被相続人の間で遺産をめぐるトラブルを回避するために存在しています。
それは、相続人皆で財産をどのように分けるのかを決めていく話し合いのことでございます。
そして、その遺産分割協議の内容を書面にしたものが遺産分割協議書です。

「遺言書が存在しない場合」は、原則として相続人「全員」で財産の分け方を決めます。
必ずしも一つの場所に集まって行う必要はございませんが、行方不明者や未成年者、認知症となった方なども、相続人である以上は関与が必要でございます。
これらの方々には不在者財産管理人、親権者または特別代理人、成年後見人などがご本人様の代わりに参加いたします。
この話し合いを、一般的に遺産分割協議と呼びます。
尚…、自分の相続分は要らない、と相続放棄をされた相続人は遺産分割協議には参加いたしません。




遺産分割協議における留意点

寄与分

寄与分とは、亡くなった方の財産の維持または増加に寄与した方については、相続分算定の際に考慮しましょう、という制度でございます。
通常の扶養義務を超えて亡くなった方の財産の維持または増加に貢献があり、且つ、維持または増加との間に因果関係があることが求められます。


特別受益

特別受益とは、相続人の中で亡くなった方から生前に生活の援助などのために贈与を受けた方いらっしゃる場合は、その分(特別受益)については相続分算定の際に計算上考慮(持ち戻し)しましょう、という定めでございます。
寄与分の制度も特別受益の制度も、相続人間の衡平(こうへい)をはかるための制度でございます。


実印、印鑑登録証明書、契印

成立した遺産分割協議書によって具体的な相続手続きを行う場合には、遺産分割協議書の作成が必要になります。
遺産分割協議書には協議の内容を記載し、相続人全員が実印で押印し、印鑑登録証明書を添付いたします。
誰が、何を、どのようにするか、という点について、明確に特定することがポイントとなります。
また、遺産分割協議書が2枚以上となる場合は、つながりを証するために用紙と用紙の間の契印を忘れないようにしましょう。
余談ですが…、 「遺産分割協議書をできるだけ1枚でまとめましょう」 という実務参考書を何冊かみかけています。
理由は契印忘れのリスクを除く、と記載されています。
個人的な見解ですが、契印は、書士側が注意すればいくらでも契印忘れのリスクを回避できます。
さらに、文章には格式、格調、美しさについての優劣がございます。
遺産分割協議書に正式な形式は求められていないとはいえ、遺産分割協議書を無理やり1枚に収めて、字が小さいなどで読みにくかったり、おおざっぱな内容に仕上げることをわたくしは善しとしません。