内容証明郵便利用の例と効果
通知の内容を後日証明することができる
内容証明で通知書を送ると、どのような内容の通知を相手方に送ったのか、後日証明することが可能でございます。
例えば、Aさんに、
「貸した金を返してほしい」
という内容の通知を普通郵便で送るとします。
しかし…、Aさんから一向に連絡が来ないので、後日、
「何も連絡をよこさないとはどういうことか。早く金を返してほしい。」
と連絡します。
この時、Aさんが、
「通知は届いたけれども、金を返せだなんて、そんな内容じゃなかったですよ。でももう通知書は捨てましたけど。」
と言ってきたらどうなるでしょう。
あなたは、
「そんなわけないだろう」
と仰るかと存じますが、結局のところ…、どのような通知がAさんに届き、Aさんがどのような内容を確認したのかはわからないのですから、水掛け論になってしまいます。
これが…、内容証明で送っていたとしたら、どうなると思いますか…?
Aさんが、
「そんな内容の通知じゃなかったですよ。でももう通知書は捨てましたけど。」
と言われても、あなたは、
「そんなわけないですよ。私もお送りしたものと同じものを持っていますし、何なら…、郵便局にも通知書を保管してもらってありますから、取り寄せましょうか…?」
と切り返すことができます。
内容証明を郵送なさる際は、同一の証明書が合計3通作成され、差出人が1通、郵便局が1通、受取人が1通をそれぞれ保管することになります。
そのため、受取人が、
「通知はそのようなものではなかった」
とごまかそうとしても、あなたは反論をすることが可能でございます。
この…内容の証明ができる、という点が、内容証明の最大の特徴であり、メリットであるといえるでしょう。
配達の事実、配達日を証明することができる
これは厳密には内容証明の効果ではございませんが、内容証明を送る場合には、一般的に同時に配達証明というサービス(300円必要)も利用いたします。
これにより、配達の事実、配達日を証明することができるという効果が生じます。
配達証明を用いると、受取人に内容証明が届いたときに、郵便物など配達証明書というハガキが差出人のもとに発送されます。
通常であれば、受取人に到達した日の翌日くらいに、差出人のもとに、
「平成〇年〇月〇日に受取人のもとに配達された」
旨が記載された郵便物等配達証明書が届きます。
この郵便物等配達証明書により、受取人が
「郵便物など届いていない」
と反論してきた際に、
「そんなことありません。郵便物等配達証明書もあるし、平成〇年〇月〇日に間違いなく届いていますよ。」
と切り返すことが可能でございます。
この配達日の証明の効果と、前述した内容の立証という効果を組み合わせると、差出人の側で、
「〇〇さんに平成〇年〇月〇日に〇〇という内容の通知が届いたこと」
を立証することが可能でございます。
通常、内容証明で郵送される通知書は、重要な内容の書面であることが多いため、配達日の証明と内容の証明の双方が必要になるかと存じます。
内容証明で郵送なさる際は、必ず、配達証明を付けるようにしましょう。
郵便物等配達証明書は、先に送った内容証明と一緒に大切に保管なさって下さい。
尚、内容証明は一般書留郵便として郵送されますので、万が一、配達証明サービスを付けずに内容証明を郵送してしまっても、送付日から1年以内に発送時の受領証(発送時に頂けます)を交付して一定の金額(420円)を支払えば、発送後であっても郵便物等配達証明書を受領することが可能でございます。
相手方に心理的プレッシャーを与えることができる
内容の証明と配達日の証明ができるという点が、内容証明の代表的な効果であり、普通郵便による通知書と異なっている点と言えます。
言い換えれば、
「受取人にどのような内容の書面がいつ届いたのかということを差出人が後日証明できる」
こと以外、内容証明は普通郵便による通知書と変わりありません。
それにもかかわらず、内容証明が日常的に用いられる郵送方法でないこと、また、「内容証明」という名称が物々しい印象を与えることから、心理的圧迫感を与えることができます。