反社会的勢力からの不当要求はどれくらいか
不当要求はどのくらいの規模で行われているのでしょうか?
実際不当要求がどれくらい民間で行われているのでしょうか…?
平成29年8月、建設業の企業に対し、不当要求に関するアンケート調査をの実施結果を参考にしますと、回答された2,785社のうち、過去5年間に不当要求を受けたことのある企業の割合は62社である2.2%でございます。
また、不当要求を受けた企業のうち、22社である35.5%の企業が、実際に不当要求に応じていたことが認められました。
平成28年7月、平成28年度「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」に関するアンケートや、平成27年9月、日本弁護士連合会、全国暴力追放運動推進センター、警察庁が共同で実施した平成27年度「行政対象暴力に関するアンケート」の調査結果によりますと、
回答のあった企業の2.8%と行政機関の9.8%が、暴力団や暴力団関係企業、総会屋、右翼構成員、社会運動等標ぼうゴロ等からの不当要求を受けた経験があると回答しており、不当要求の対象は幅広い分野にわたっております。
主な不当要求への対処方法
寄付金・賛助金等の不当要求
要求手順
社会運動などを仮装、標ぼうするなどして社会問題などを口実に寄付金・賛助金等の名目で金品を要求
↓
要求を断ると、以後面会の強要や街頭宣伝活動を示唆し、困惑させる言動
↓
寄付や賛助の約束を取り付けたり、金品を受け取ると、いったん収束
↓
一度でも要求に応ずると、以後は定期的に、かつ継続して寄付金・賛助金などの名目で金品を要求 対処要領 ・組織の方針として、このような要求は断るという強い意思統一が必要です。
「弱い」と思う相手には、とことん攻撃してくるのが相手のやり方です。
・ 「会社(役所)の方針として寄付することはできません。」などと言って、毅然と拒否するようにしましょう。
・相手は言葉尻を捉えて攻撃してきますので、言葉には気を付けて毅然と拒否しましょう。
書籍・機関紙(誌)等を送りつけての不当要求 要求手順 一方的な書籍・機関紙(誌)等の購読、購入の要求、送り付け ↓ 社会運動等を仮装、標ぼうするなどしてその威力を示し、購読を承諾するまで執拗に要求
↓ 指定銀行振込口座への入金を確認すると、いったん収束 ↓ 再度「改訂版」等を発行したと称して、以後、恒常的な購読や賛助金などを要求 対処要領
【電話による要求を断る場合は「拒否」の意思を明確に伝えましょう】 ・機関紙(誌)や図書等の 購読、購入の意思がないことを「必要ありません」明確に拒否することが大切
です。 ・相手方は、「同業他社の多くが購読している」「今回だけで結構だ」等と強引に要求してきますが、 論争や議 論は避け、電話も短時間で切る
ようにしましょう。 購読、購入しない理由などについては、相手方に伝える必要はありません 。 ・この手の電話は、一度断っても 氏名を変えて、再度、電話で要求してくることが想定される
ので、担当者(不当要求防止責任者)に 窓口を一本化 しておくことが大切です。 ・不当要求については、 電話を切った後でも電話の日時、相手の名前、内容などを記録として残し、経過を明らかにしておくこと
が大切です。 【一方的に送りつけられ、送付の図書などを返送する場合は…】 ・ 送り主は、様々な場合(個人、法人、団体名等)が想定されますが、まず、送り主と現物を確認することが大切です。
・ 開封前に返送する場合は、郵便物を確認後、 メモ用紙に「受取拒否」と明記し、受取人の氏名などを記名押印した後、郵便物の宛名面に貼付 し、郵便局を通じ、返送しましょう。
・ 開封後に返送する場合は、一方的に送りつけられた郵便物等は返送する義務はありませんが、余計なトラブルを避けるため、包装を解いてしまった場合には、
内容証明郵便 ※文書と機関紙(誌)は一緒に送れません。機関紙(誌)等の返送は書留郵便となり、二つとなります。 配達証明郵便 ※文書と機関紙(誌)等を一緒に送ることができます
のいずれかにより、 「購読、購入の意思はない」旨を明記して返送 しましょう。
警察や暴追センター、弊所への連絡、相談 事案によっては、恐喝罪・脅迫罪などの刑罰法令に触れる場合や暴力団対策法の中止命令の対象となる場合 があります。アプローチがあったら速やかに警察や暴追センター、弊所に連絡、相談してください。
不当要求にはどのような措置がなされるのか
参考文献、凡例
『不当要求防止責任者ハンドブック』(警視庁組織犯罪対策第三課、暴力団追放運動推進都民センター)
『不当要求防止責任者教本 ~暴力団撃退マニュアル~』(立花書房)