財産をどうするか


相続財産をどうするか検討しましょう


相続財産の額は確定しましたでしょうか…?
または財産目録は作成できましたでしょうか…?
相続人の確定だけでなく、相続財産も確定しましたら、どのように相続を進めていくか、全体の方向性が見えて参ります。
まず、相続財産の額や負債の有無によって、取るべき手続きが変わってきます。
そして、それらの手続きには期限があるものもございますので、ご注意ください。

相続するか…、放棄するか… 相続なさるか、放棄なさるかを考える場合、相続財産が少なく、更に負債の方が大きい場合は、相続放棄の手続きを検討しましょう。
相続放棄を行うと…、はじめから相続人にならなかったものとみなされます(民法第939条)。
したがって、相続放棄を行いますと、相続財産を受け取る権利を失いますので、慎重に判断する必要がございます。

また、相続放棄をなさると、負債は他の相続人が負担することになりますので、トラブルにならないようご注意ください。
なお…、全ての相続人が相続放棄なさり、法律上の相続人が存在しない場合には、最終的に相続財産は国庫に帰属いたします。
相続財産があっても、後の親族関係等を考えると…、一切相続なさるつもりがなく、また関わりたくないという複雑のご事情を抱えていらっしゃる方も、相続放棄の手続きを検討なさるとよいでしょう。

申告が必要が否か… 相続財産が一定の金額を越える場合等は、税務署への相続税の申告が必要になります。


相続放棄、相続税申告と期限


相続放棄と相続税申告には期限が定められています。
相続放棄は3か月以内、相続税申告は10か月以内、でございます。
この定められた期限を過ぎてしまいますと…、相続放棄はできなくなり、相続税は延滞税等のペナルティーが課せられてしまいますので、特にご注意ください。

したがって、相続放棄や相続税申告などの期限が定められている手続きが必要と思われる場合には、期限を逆算して、相続人の調査、相続財産の調査をすみやかに済ませておく必要がございます。




相続税はどういう人にかかるのか

「相続税は、財産額が基礎控除額の3,000万円と相続人の人数×600万円を足した全体の控除額を超えると税理士の先生に相続税申告の依頼をする必要がありますね。」
相続税とは 相続税とは、故人がお亡くなりになった時に国に支払う税金でございます。
では、その相続税がいったいどれくらいかかるのか…、またどれくらいの割合の方が課税対象になっているのか…、非常に気になるところかと存じます。
相続税は平成27年以前はお亡くなりになった方の4%、つまり資産をお持ちの方しか課税されていなかった税金でした。
平成27年からは制度が改正され、8%の方が課税対象になっております。
案外…少ない数字だと感じられた方もいらっしゃるかと存じます。
相続税には、財産がある金額以下であれば相続税がかからない、という非課税枠(基礎控除額)がございます。
財産が基礎控除額を超えている場合には、相続税の申告や納税が必要でございますが、基礎控除額に満たなければ、相続税に関する手続きは一切、必要ございません。
したがって、相続財産をしっかり把握されることが、ご自身が相続税の課税対象なのかどうかを判断でき、また相続税申告への第一歩ということになります。

一般的な故人の財産の大部分について占めているものを紹介します
一般的に、故人の 財産の大部分を占めるのは、ご自宅の土地・建物などの不動産と、預金や株式などの金融資産 でございます。
金融資産は原則として、お亡くなりになった日の残高や時価がそのまま評価額になりますが、不動産は相続税特有の方法で評価されるため、少し専門的な知識が必要 でございます。
尚、 ご自宅などの土地については、一定の面積までは評価額が8割引になる小規模宅地等の特例 がございます。
土地はお金に換えにくい財産でございますので、残されたご家族にとって必要度が高い場合には、相続税の負担が軽くなるよう、様々な特例が設けられています。



4つの財産分割方法

現物分割

現物分割は、一番単純な分け方として、財産の形状はそのまま(現金、家、土地、株式等)で、それを分け合うという方法です。
例として、不動産は妻、預金は長男、株式は次男、というように財産を現物のまま分割する方法となります。

代償分割

代償分割とは、金銭を交付して解決する方法です。
例として、妻が不動産を相続する代償として、他の相続人に代償金を支払うというような方法となります。
相続人同士の話し合いが金銭トラブルを起こさないようにスムーズに進む間柄であれば、有効な分割方法でございます。

換価分割

換価分割とは、財産を一旦金銭に換えて分ける方法です。
例として、不動産などの財産を売却してその代金を相続人で分割する方法となります。
財産が最も流動性の高い金銭に換わるので、分け方は楽になりますが、不動産や株式等の値動きがある商品を金銭に換える場合、価格が低い時に換金すると、損をしてしまうことになります。

共有分割

共有分割とは、財産を売却せず、代償金を払わないで分割する方法です。
どういうことかと言いますと、相続財産を遺産分割協議や法廷相続分に応じて相続人で共有するという方法となります。