生前贈与を活用しましょう

こんにちは。
行政書士 葛飾江戸川総合法務事務所のアテンドキャラクタ―の細谷叶恵です。
こちらでは生前対策として、生前贈与を活用する方法をご紹介します。

まず、結論を先に申し上げますと、生前贈与をなさると、相続税の負担を減らすことができます
そして、資産家の方ほど節税しにくいようにされております。
早めの生前対策が重要とされております。

現在、相続税に備えて、生前贈与をなさる方が増えております。
様々な金融機関でも生前贈与は生前対策として紹介されています。
実は…、相続税と贈与税の違いを上手に利用すれば、税金の負担を軽くすることができます。


必ず贈与の証拠を残しましょう
相続はいつ起きるかは誰にもわからず、故人の残した財産に一度に相続税がかかります。
非課税枠である基礎控除額も、財産全体に対する金額から差し引くことになります。

しかし、生前贈与なら、自分の意思と都合に合わせて、いつ、誰に、いくら渡すのかを決めることができます。
贈与税の非課税枠はもらう方ごとに毎年110万円なので、お子様やお孫様など、多くの方に何年かに分けて財産を渡すことも可能でございます。

但し、確かに贈与があったという証拠・資料を残しておかないと、税務署は認めてくれません
贈与した方・された方両方の署名捺印がある贈与契約書を作成し、財産は頂いた方にきちんと渡し、頂いた方が管理するようにしましょう。

(贈与)民法第549条
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。


贈与税の計算方法は2通りございます
1 暦年課税制度
暦年課税制度は、頂く方ごとに毎年110万円の非課税枠がございます。
110万円を超えなければ、税金に関する手続きは不要であり、超えたときだけ、翌年3月15日までに申告書を税務署に提出し、贈与税を納めます
なお、平成27年からは20歳以上の子や孫への贈与は税率が緩和されました。


メリット
いつまでもこの制度を利用できます。

デメリット
毎年110万円までしか贈与できないため、体が不自由になってから贈与を始めたのでは、大した金額を贈与できない可能性があります。
3年かけても330万円までしか贈与できません。
資産家の方ほど早い時期から始めないといけません。


2 相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、若い世代により財産を移しやすくしようという目的で、平成15年に新しくつくられた制度でございます。

同じ「贈与をなさる方・頂く方」の間なら、一生涯2,500万円の特別控除額が複数の年にわたり使えます
2,500万円に達するまで、贈与税はかかりませんが(死亡時の相続税としては計算されます)、それを超えたら一律20%の税率で贈与税がかかります


メリット
将来、遺産が相続税の非課税枠内に収まって相続税がかからない、あるいはほとんどかかる見込みがないご家庭なら有効な節税方法になります。
贈与した金額が相続税として計算されても、相続税の非課税枠を超えなければ、結局、相続税も支払わなくて済むからです。

デメリット
資産家の方は利用しない方が良いです。
1億円以上などの資産家の方にはただの税金の先延ばしです。
以下にその理由を2つ掲載いたします。


一つ目です。
2,500万円は贈与税の「非課税枠」ではなく、「とりあえず贈与税はかからない枠(特別控除額)」であり、贈与された方が亡くなると、その財産には相続税がかかります。
したがって、贈与なさった資産家の方が亡くなった場合、贈与した金額にも相続税がかかってきます
贈与した金額も相続税の課税分に全て加算されて計算されますので、相続税の非課税枠を超えやすくなり、相続税がかかりやすく、場合によってはより高い金額になります。

二つ目です。
一旦この制度を選択すると、「贈与なさる方・頂く方」の間では一生この制度を使わなければならないため、1の暦年課税制度の毎年110万円の非課税枠は使えなくなります


相続時精算課税制度は平成26年までは原則として65歳以上の親から20歳以上の子供への贈与にしか使えませんでしたが、平成27年からは祖父母と孫の間でも使えるようになり、贈与する側の年齢も65歳以上から60歳以上に引き下げられ、より制度を活用しやすくなりました。

両方の制度の違いを正しく理解し、どちらを使うか判断しましょう。